著者
吉澤 能政
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.870-876, 1981-12-05

低温は, 流体力学の分野でも有用な実験手段を提供することが明らかとなり, 低温にした風洞が作られ始めている. 気体の範囲で低温であるほど都合がよいので, 10K程度のヘリウム風洞が作れると, 理想的な風洞ができることになる. 現実には経費も含めて多くの制約があり, 窒素ガスによる低温風洞で妥協せざるを得ないが, それでも高圧化を併用することにより, マッハ数とレイノルズ数の可変範囲が大幅に拡大し, 力学的相似則をみたした模型実験が可能になろうとしている. ここでは低温高レイノルズ数風洞の必要性, 原理, 特色などを, 国際的な動向も含めて, わかり易く説明した.