著者
名嘉真 武男
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.242-245, 1979-04-01 (Released:2012-03-22)
被引用文献数
2 2

著者らは昭和48年1月から昭和53年8月までの6年8ヵ月間の皮膚カンジダ症1727例について病型分類をおこなつた。ステロイド外用剤ともつとも関係が深いと考えられる乳児寄生菌性紅斑とカンジダ性間擦疹が多く, とくに乳児寄生菌性紅斑ではステロイド外用に起因する汎発型がしばしば観察されるほか口囲カンジダ症, カンジダ性毛包炎, 口唇カンジダ症が少数ながら散見されるようになつた。またステロイド外用の既往のあるものが乳児寄生菌性紅斑で96%, カンジダ性間擦疹で83%, さらに他疾患とくにステロイド外用を行なつている口囲, 肛囲, 間擦部の病変にカンジダ症が続発している症例が多く, また乳児カンジダ症と入浴との関係が深いことをしめした。試験管内実験ではデキサメサゾン, ベタメサゾン添加サブロー培地ではCandida albicansの増殖は促進されるが, 非ステロイド抗炎症剤のbufexamacはC. albicansの増殖曲線にはなんらの影響もあたえないことをしめした。臨床的にもステロイド外用を受けた皮膚カンジダ症の病巣は汎発化の傾向をとり多数の衛星状に点在する丘疹, 膿疱が特徴的な所見であることをスライドで供覧した。