著者
名定 慎也
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.20, pp.91-100, 2021-06

本研究では,「介護福祉士養成における適切な教育」及び,「介護現場における適切な介護の実践」の向上を目的とし,介護保険制度導入前と現在の介護実践に変化はあるのか,また,介護現場で実際に行われている生活支援技術と介護福祉士養成課程で学ぶ生活支援技術に相違はあるのかを比較した。特に今回は,ベッドを使用する介護技術に焦点を当てた。方法は,特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで介護福祉実習に携わる施設職員にアンケート調査を実施した。その結果,介護保険導入前と現在を比較すると,①介護施設の介護ベッドは,「手動ベッド」から「電動ベッド」に移行していること,②ベッドを使用した介護技術(ベッドメイキング,オシメ交換)に関しては,ベッドの高さを調節し腰痛予防に留意する介護技術が促進していること。③介護現場の実践方法と介護福祉士養成教育内容の差異については,介護職員の意識や介護知識・技術のレベルの違い,体格の違い等状況により実践方法が変わるため差異を明確にするには至らなかったが,介護職員から「人によって介護方法が違う」という結果が明らかになったことで,基本の実践(介護技術)が定着していないことも示唆された。