- 著者
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四時菴形影 [著]
- 巻号頁・発行日
- vol.上巻, 1817
下巻を欠くが、江戸で最初に出版された朝顔図譜である。題言は杏花園主人、すなわち大田南畝の執筆、序文は著者四時菴形影(実名は未詳)の自序であり、ともに文化13年7月9日に浅草牛頭天王(ごず・てんのう)の別当大円精舎で開かれた江戸で初めての朝顔花合せ(品評会)に言及する。本文は半丁(=1頁)1品1図で、品名のほか、その変異品の数も挙げる。上巻には50品を図示しており、そのうち「極黄采(ざい)」(「色如菜花」と注)から、黄花朝顔がすでに出現していたことがわかる。黄花は明治維新後に絶えた稀種である。なお、目次の「一百八十五種」は変異品までを含めた数であること、彩色図には青絵具が変色して薄茶色や灰色に見える場合があることに注意されたい。『あさがほ叢』(特7-282)も同本(上巻のみ)。当館本は下巻が無いので、東京国立博物館本で補記しておくと、図示されているのは、上巻と同じく50品。刊記には「文化十四丁丑初春」とある。(磯野直秀)