- 著者
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中尾 義則
森田 隆史
伊藤 飛鳥
小屋 幸勇
津呂 正人
土屋 照二
- 出版者
- 名城大学農学部
- 巻号頁・発行日
- no.47, pp.19-23, 2011 (Released:2012-12-03)
ニホンナシ果実の発育に伴う果肉中のペクチン組成の消長およびその品種間差を、早熟性の‘新水’および‘新世紀’、中熟性の‘幸水’および‘長十郎’、ならびに晩熟性の‘今村秋’の5品種を用いて調査した.5月4日から8月ないし9月の収穫期まで3週間毎に果実を採取し、 果実横径、水分含量、アルコール不可溶性物質(AIS)を測定し、AISから水可溶性ペクチン、熱水可溶性ペクチン、ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンおよび塩酸可溶性ペクチンを抽出し、定量した.果実の肥大は6月上旬から中旬に一時的に停滞し、この時期は細胞肥大準備期に相当し、果肉中の石細胞の密度が高まる時期でもある.この肥大停滞期に水分含量が低かったが、その後増加して一定となった.一方、この肥大停滞期には塩酸可溶性ペクチン含量が多く、その後果実の成熟とともに減少した.この塩酸可溶性ペクチンの減少は晩熟性品種ほど遅れて始まるとともに、その減少量が少なかった.また、果実の成熟期には水可溶性ペクチンあるいは熱水可溶性ペクチンがわずかに増加した.これらから、果実の成熟に伴う果肉の軟化は、細胞壁構成成分であるペクチンの可溶化と関連があると考えられた.