著者
土肥 清幸
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.923-926, 2011

濃度計の中で回転式タイプは,過去60年以上に亘りパルプ&製紙工場では非常に多くの取付け箇所に率先して選定されてきた歴史がある。これまで,多くの濃度計が市場に導入されて来たが,その測定原理はどれも根本的な箇所は改善されずそのままであった。<BR>今,特に性能と保守の技術的改革の時期にきており,抜本的によりよい測定方式に基づいた解決策が求められていると言える。<BR>そのためには,これまでのトルク変位測定の原点であった「Force balance=力平衡方式=コイル励磁,背圧バランス(=ブルドン管又はベローズ)」の概念に頼らず,新しい概念に基づいて開発をする必要性があった。<BR>今般,メッツォはパルプスラリー内で生じた剪断力をトルク特性として変換する際に,従来その変位を捉えるための基準になる力学的な作用点(支点)に使用されていた弾性ラバーに改善の余地があるということに焦点を当て,その解決方法を見出すに至った。それはシール材の硬度を上げれば解決するというものではなく,「シール材は性能と同時に回転変位を生じさせる機能をも持ち得なくてはならない」という通常は矛盾した理論の中に答えがあった。