著者
坂下 恵美子
出版者
宮崎大学医学部看護学科
雑誌
南九州看護研究誌 = The South Kyusyu journal of nursing (ISSN:13481894)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.31-38, 2017

本研究の目的は,終末期がん患者の看取りにかかわる若手看護師が直面する困難を明確にすることである。研究対象者は一般病棟に勤務する臨床経験2年以上,5年未満の若手看護師16名。看取りにかかわる若手看護師が直面する困難は,(未熟なケアを提供する中の困難)と(患者の心や家族の動揺を感じる困難)に集約された。(未熟なケアを提供する中の困難)では,≪業務に追われて余裕がない辛さ≫【苦しむ状況に感じる重圧】【踏み込むことへの尻込み】【技術や知識の無さを痛感する】【何もできない無力感】≪心身の疲労≫があり,(患者の心や家族の動揺を感じる困難)では,【終末期にある命への憂い】【終末期に起きている状況への困惑】があった。###困難を抱える若手看護師支援は,若手看護師の抱えた悩みや不安を表出できるよう支援することや,若手看護師が,看取りの経験をしっかりと振り返り,患者や家族の思いを考え,死にゆく人の理解を深めていくことが必要であると示唆された。