著者
坂井 晶子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.84-100, 2018-04-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
9

現行の句読法は、西洋のpunctuationの影響のもと、明治以降に日本語の書き言葉に使用されるようになった。義務教育課程においては、まず国語読本から〈、〉と〈。〉を使い分ける句読法が使われ始め、次いで作文教科書に使用された。明治37年の「国定読本編纂趣意書」および明治39年「句読法案」の発表をきっかけに、綴り方の授業で句読法が教授されるようになった。児童の作文もこの流れを反映し、明治30年代においては、句読点を全く用いないか、一種類のみを使用するものが大半を占める一方、明治40年代には現行に近い句読法を使うものが優勢となる。また、記号は後から文章に打たれるのではなく、文字とおなじタイミングで付される。この句読法は大正年間を通じて次第に定着していった。