- 著者
-
垣野内 将貴
面 和成
- 雑誌
- 研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
- 巻号頁・発行日
- vol.2021-CSEC-95, no.15, pp.1-8, 2021-11-01
ICT 利用者にとって,情報セキュリティ対策は常に考えなければいけない課題で,その対策が面倒であったり,手間がかかったりと,精神的な消耗感(情報セキュリティ疲れ)へとつながることもある.このような情報セキュリティ疲れに陥ることで,情報セキュリティ対策効果が上がらなくなることがすでに明らかにされ,施策が提案されている.しかしながら,視覚障害者には晴眼者の施策では対応できない問題があるにもかかわらず,先行研究では晴眼者のみを対象としており,視覚障害者は対象としていない.さらに,視覚障害者のユーザブルセキュリティの研究でも,認証技術や認証方法に関した研究はされているものの,情報セキュリティ疲れに関する研究はまだまだ少ない.本稿では,視覚障害者の大学生に限定して調査を行い,結果を分析した.その結果,晴眼者のコンディションマトリクス上の分布は6群がほぼ一様であったのに対し,視覚障害者での分布は大きく異なり,セキュリティ対策実施度が高い学生ほどセキュリティ疲労度も高いことがわかった.また,晴眼者に対する既存研究での対策案では補いきれない部分を考慮して,視覚障害者ならではの施策も明らかにした.