著者
周 彬 堂野 佐俊
出版者
山口大学教育学部
雑誌
研究論叢 第3部 芸術・体育・教育・心理 (ISSN:02860597)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.141-150, 2006
被引用文献数
1

学校が抱える種々の問題はますます深刻化し、メディアなどを通して毎日のように、まさに国民的課題として報じられるようになって久しい。いじめ、不登校、校内暴力だけにとどまらず、近年では少年による重大犯罪、引きこもり、学級崩壊など、現代的現象として指摘される問題は後を絶たない。こうした傾向の背景に心の問題の存在を指摘する識者も多い。坂野(1990)は、学校生活においてみられるさまざまな児童・生徒の逸脱行動を生み出す原因の1つとして、彼らが学校生活の中で感じているストレス(以下、学校ストレス)の増大を挙げている。こうした観点から現代の社会的問題を考慮する場合、学齢期にある児童・生徒の心理的ストレスについて明らかにすることは、教育や子育てという立場においても、社会的課題の究明という視点においても、極めて有意義なことであると考えられる。
著者
雷 秀雅 堂野 佐俊
出版者
山口大学
雑誌
研究論叢. 芸術・体育・教育・心理 (ISSN:02860597)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.9-25, 2003-01-31

現代社会は、一億総ストレスとも呼ばれるように、我々の身の回りには多様な心理的なストレスが満ち溢れている。こうしたストレスは大人社会のみならず、学校や家庭をはじめとする子どもの世界にも同様の大きな影響を及ぼしてきている。特に、自我の確立に向けて発達し苦悩する思春期の子ども達にとっては、それが持つ意味は多大である。今日、社会的課題ともいわれる思春期の青少年の行動や生活態度に関する指摘の背景には、彼らをめぐる心理的なストレスの影響があることも考慮されるべき重要な視点である。本研究は、思春期の心理的ストレスの実態とその要因について明らかにすることを目的とした。ストレスの状況に関しては、頻度と強度、及び対処行動の三つの側面から測定した。対象として、中国及び日本における思春期の子ども517名を用い、日常生活でのストレスについて質問紙により調査を行った。こうした分析に基づき、これら思春期のストレスに影響を及ぼす要因についての検討も試みた。