著者
塩田 義蔵
出版者
日本遺伝学会
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.248-252, 1962 (Released:2007-05-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1

1951年から1960年にわたる10年間, 異なった種類の組合せ(銀黒×銀黒, プラチナ×プラチナ,銀黒×プラチナ)についてそれぞれ10組の交配を行ない, その産児の litter size, 性比および毛色の分離を調査した。その結果は第1~4表と第1図に要約される。プラチナ形質は銀黒に対して優性でプラチナ遺伝子をホモにもつと致死作用を現わし, プラチナ狐はその遺伝子に関して常にヘテロの状熊にある。従ってプラチナ相互の交配による産児の表現は銀黒とプラチナに分離しその割合は 1:2となる。litter size は毛色の組合せによって異なり, 銀黒×プラチナでは銀黒相互交配の場合よりかなり小さく, むしろプラチナ相互交配の litter size に近い値を示した。このことより銀黒狐に対してプラチナ狐を配すると, より多くの虚弱胎児をもつことが想像され, それにはプラチナ親の生殖細胞かプラチナ遺伝子ヘテロの胎児に原因があるように思われる。産児の性比はいずれの場合も正常で, 銀黒およびプラチナ形質は常染色体性の遺伝をなすものと考えられる。