著者
中 野 剛 治 大 原 亨
出版者
学校法人 東洋大学現代社会総合研究所
雑誌
現代社会研究 (ISSN:1348740X)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.16, pp.41-50, 2018 (Released:2019-10-31)

本研究は、イノベーションの社外活用を促進する市場を拡大しようとするオープンイノベーション(Chesbrough, 2003)なる現象の中で、ベンチャー企業と大企業のマッチングがどのような要件の下で成立するのかを、日本におけるオープンイノベーションイベントの先駆的取り組みであるイノベーション・リーダーズ・サミット(以降ILS)に参加したベンチャー企業ならびに大企業に対するアンケート調査から明らかにするものである。本研究では、ベンチャー企業と大手企業とのユニークな組み合わせであるマッチングリクエストを対象に、マッチングの成立・不成立に影響を与える大企業の属性およびベンチャー企業の属性を確認した。分析の結果、ベンチャー企業と大手企業の協業関係の構築において、大手企業の経営トップの関与の必要性、大手企業の経営陣とベンチャーキャピタルとの情報交換の在り方、ベンチャー企業の製品・サービスの開発段階がそれぞれ影響していることが明らかになった。