著者
大木 祥太郎
出版者
奈良大学大学院
雑誌
奈良大学大学院研究年報 (ISSN:13420453)
巻号頁・発行日
no.9, pp.33-35, 2004-03

十六世紀日本列島を訪れた宣教者たちの記述からは、男性同性愛(男色) が日常的な風俗であったことが窺える。歴史学はその行為を社会の周縁に位置づけるか個人的な性癖として解釈し、男色という文化の社会的広がりを意識的に削除し無視してきた。本論文の主題は家父長制や私有財産の継承という社会構造の変革のなかで中世の性愛が実体的意味として機能していたことを考察することにあります。