著者
友田 裕代 大桃 定洋 田中 治 北本 宏子 浜谷 徹 河野 敏明 丹野 裕
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.155-158, 1996-07-30
参考文献数
19
被引用文献数
13

アクレモニウム属菌(Acremonium cellulolyticus Y-94)に由来するセルラーゼ(アクレモニウムセルラーゼ,以下ACS 2と略)またはトリコデルマ属菌(Trichoderma viride)に由来するセルラーゼ(トリコデルマセルラーゼ,以下CEPと略)を添加してアルファルファサイレージを調製し,両者の発酵品質改善効果を比較して以下の結果を得た。1. ACS 2を添加して調製したサイレージは,無添加区,1%グルコース添加区及びCEP添加区と比較して明らかに乳酸含量が多く,L/T値も高かった。また,これらの品質改善効果は乳酸菌製剤との併用によってさらに確実なものとされた。2. ACS 2の添加量は0.01%で十分な発酵品質改善効果を示し,それ以上添加しても発酵品質が大きく変化することはなかった。3. ACS 2を乳酸菌製剤と併用添加したアルファルファの番草別発酵品質は,2番草でやや乳酸含量及びL/T値が低かったものの概ね良好で,収穫時期を考慮せずに良質発酵品の調製を可能とした。以上の結果,ACS 2の0.01%添加はアルファルファサイレージの発酵品質を改善し,乳酸菌製剤との併用によって,その効果をより確実にできることが明らかとなった。
著者
田中 治 大桃 定洋
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.55-59, 1995-04-30
被引用文献数
15

簡便で労力のかからない小規模サイレージ発酵試験法の確立を目的として,従来から使用されてきたガラスビンサイロの代わりに,ガスバリヤー性の高い食品包装用フィルムで成形した袋(パウチ)を用いる方法(パウチ法)を検討した。さらに,このパウチを用いて,先に開発したサイレージモデル発酵系の改良を試み,以下の結果を得た。1.同じロットのアルファルファを材料草として,パウチ法とビンサイロ法とでサイレージを調製し,両サイレージの発酵品質を比較した結果,両者の間に大差はなく,パウチ法は,小規模サイレージ発酵試験に使用可能であると考えられた。2.パウチ法を用いたサイレージモデル発酵系の反復試験においては,有機酸生成量の変動範囲は±9%以下であった。また,培地の水分含有率を85%から70%へ低下させると,酪酸発酵が抑制された。3.本サイレージモデル発酵系(水分含有率85%)において,培地の糖濃度0.5〜0.6%を境に乳酸/酪酸の発酵転換が認められた。なお,この発酵転換は,乳酸菌とColi型細菌との接種菌数の比及び密封前の好気条件下での培養時間によって影響を受けた。4.本サイレージモデル発酵系(水分含有率85%)においては,酪酸発酵を起こす条件下ではColi型細菌が増殖し,乳酸の生成が進まず,培養48時間後には酪酸の生成が認められた。一方,酪酸発酵を起こさない条件下では,Coli型細菌の増殖が抑えられ,乳酸の速やかな生成が認められた。