- 著者
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江邉 正平
大池 達矢
岡南 政宏
阿野 貴司
- 出版者
- 近畿大学生物理工学部
- 雑誌
- 近畿大学生物理工学部紀要 (ISSN:13427202)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, pp.15-26, 2014-09
[要旨] 微生物燃料電池とは, 微生物が有機物を分解する過程で生じる電子を電気エネルギーとして回収する装置である. 微生物燃料電池は, 有機物から直接電気エネルギーを取り出すことが出来ることから, 廃水処理と組み合わせた利用が考えられている. 本研究では, モデル微生物であり, 数多くの食品にも利用されている酵母を用いた微生物燃料電池の開発を行った. そして酵母を用いた微生物燃料電池の発電効率を上げるため2つのアプローチを試みた. それらは酵母と乳酸菌を共培養した際に形成される複合バイオフィルムと微生物燃料電池を組み合わせたものと、燻炭による代謝促進と微生物燃料電池を組み合わせたものである. 本研究により, 強い複合バイオフィルム形成を行う酵母と乳酸菌の組み合わせを特定できた. この組み合わせを微生物燃料電池に組み込むことで, 酵母, 乳酸菌それぞれ単独で発電を行ったものよりも高い発電力が得られた. また, 酵母培養液に燻炭を添加することにより代謝が促進されることが示され, 燻炭を酵母微生物燃料電池へ組み込むことで高い発電力を得ることができた. [Abstract] Microbial fuel cells (MFCs) are devices that can use microorganisms as biocatalysts to directly convert chemical energy to electricity. Combining with wastewater treatment process with MFCs makes the electricity generation possible from organic waste. In this study, we used yeast and two approaches were attempted to enhance the performances of MFCs. One approach was a mixed-species biofilm in coculture of yeasts and lactic acid bacteria, and the other was addition of biocharwhich enhances microbial metabolic activity. We found the combination of yeast and lactic acid bacterium, which forms a strong mixed-species biofilm, produced more electricity than the monoculture of the microbe. Fermentation of yeasts was stimulated by the presence of biochar and the yeast-based MFCs with biochar produced more electricity than those without biochar.