著者
大石 斐子 齋藤 玲子 小田柿 誠二 補永 薫 立石 雅子
出版者
認知リハビリテーション研究会
雑誌
認知リハビリテーション (ISSN:24364223)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-37, 2013 (Released:2022-05-26)
参考文献数
18

回復期リハビリテーション病棟にてメモリーノート訓練を実施し,活用の成否に関わる要因について神経心理学的検査と独自に作成したメモリーノートの使用に関する評価を用いて検討した。訓練は,ノートの使用方法を学習する机上訓練と,病棟生活における活用を促す実用訓練を行った。メモリーノートを習得し,スケジュール管理を自発的に行えるようになった自立群(9名)と,訓練終了時に援助が必要であった非自立群(10名)を比較すると,知的機能,「情動」,「受容性」は両群ともに導入時より良好であった。記憶障害を含む高次脳機能障害は,自立群が非自立群よりも軽度である傾向にあった。また,自立群のほうが非自立群よりも,記憶障害に対する「モニタリング能力」とメモリーノート使用の「動機づけ」が高かった。これらの条件が備わっている症例には,回復期リハビリにおいても代償手段の訓練を実施することの有効性があると考えられた。