著者
大西 健美
出版者
新潟県水産海洋研究所
巻号頁・発行日
no.2, pp.15-20, 2009 (Released:2012-12-06)

新潟県沿岸域におけるアカムツの年齢と成長及び成熟と産卵期の関係を明らかにすることを目的とした。(1)緑辺成長率の経月変化から,輪紋は年一回,少なくとも12月以降7月までの間に形成されると考えられた。(2)鱗による年齢査定の結果雌雄別にBertalanffyの成長式を得た。雄;L1=38.6×(1-e-0.179(t+0.337))雌:L1=46.4×(1-e-0.153(t+0.543))(3)GSIの変化及び雌の卵巣の組織切片の観察から,本種の新潟県沿岸域における主産卵期は9月と推定された。雌が再生産に寄与するのは3齢以上であると考えられる。(4)輪紋形成時期と産卵期にずれが見られるため,満年齢時の体長にすると雄で,L1=9.1cm, L2=14.0cm, L3=18.0cm, L4=21.4cm, 雌でL1=10.7cm, L2=15.8cm, L3=20.1cm, L4=23.8cm, L5=27.0cm, L6=29.8cm, L7=32.1cm, L8=34.2cmとなった。(5)実測値から見られる1,2齢の満年齢時のモードは満年齢時の計算体長よりも小さく(L1=約8cm, L2=約13cm),鱗による査定による結果は,第1輪で反Lee現象が見られたことや小型個体サンプルの不足から若齢魚の体長を過大評価している可能性が考えられる。