著者
大谷 洋子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.71-76, 2018-05-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
13

トマト青枯病菌に対する土壌還元消毒の新規資材として,糖含有珪藻土または糖蜜吸着資材を用いた場合の処理条件について検討した。両資材とも,土壌に対して重量比で 1%以上混和して土壌還元消毒処理すると,青枯病菌に対して対照の廃糖蜜 0.6%処理に優る効果が得られることが示唆された。また,20~50°Cの範囲では温度が高いほど還元が進んだ。和歌山県で7~8月に施設内で土壌消毒を実施すると,地下 30 cmでは 40°C以上を12日間維持できた。一方,地下 40 cmでは,みなべ町では処理開始13日後以降 40°C以上を維持したが,海南市では 40°Cに達することはなかった。これらのことから,地下 30 cmより浅い層では高地温による菌密度低減と還元による菌密度低減が併せて起こり,地下 30~40 cmより深い層では溶出した糖含有珪藻土および糖蜜吸着資材の成分による還元が起こって菌密度が低減することが期待される。