著者
橘高 弘忠 大野 兼弥 渡辺 博也 秋元 寛
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.373-379, 2019-10-20 (Released:2019-10-20)
参考文献数
10

【目的】遅発性外傷性気胸症例を検証する. 【方法】 "初診時CTで認められず, 入院後の画像検査で初めて判明した外傷性気胸" を "遅発性外傷性気胸" と定義し, 入院加療を行った胸部外傷475例を後方視的に検証した. 【結果】外傷性気胸159例中5例が遅発性外傷性気胸に該当した. 全例が気胸側に上中位肋骨の複数骨折を合併し, 鎖骨骨折は3例 (60%) に認めた. 遅発性外傷性気胸の診断日は第2病日が4例 (80%), 第3病日が1例 (20%) で, 診断後, 緊急ドレナージを3例に施行, 残り2例中1例は待機的手術に際してドレナージを行った. ドレーン留置期間は6 (3-11) 日で, 非ドレナージ症例も増悪なく経過し, 全例が生存退院した. 【考察】遅発性外傷性気胸の頻度は低いが, 緊急ドレナージを要することもあるため, 複数本の上中位肋骨骨折や鎖骨骨折合併例では注意深く経過観察する必要がある.