著者
大黒 鉱
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.361-365, 1975-06-10
被引用文献数
1

空気-アセチレン及び空気-水素フレ-ムを用いるクロムの原子吸光分析において、数種類のクロム化合物より調製した標準溶液が、同じクロム濃度にもかかわらず異なった感度を示した。各クロム化合物の水溶液での感度の大きさは次のとおりであった。空気-アセチレンフレーム:クロム酸アンモニウム>重クロム酸カリウム>塩化クロム>クロム酸カリウム。 空気-水素フレーム:重クロム酸カリウム>クロム酸アンモニウム>クロム酸カリウム>塩化クロム。 このような感度差は、クロムに対して大きな増感干渉を示す塩化アンモニウムの添加によって補正することができた。その結果、検量線作成用の標準溶液と試料溶液にそれぞれ塩化アンモニウムを添加することにより、いずれのクロム化合物も標準として用いることが可能となり、また数種類の異なったクロム化合物が共存する試料中の全クロムの正確な分析も容易にできるようになった。