- 著者
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太田 裕也
金岡 晃
森 達哉
- 雑誌
- 研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
- 巻号頁・発行日
- vol.2016-SPT-17, no.19, pp.1-6, 2016-02-25
視覚障害者や高齢者は今日の情報社会における基本ツールであるパソコンやウェブの利用においてハンディキャップを抱えている.このようなハンディキャップを技術的手段によって克服するためには,アクセシビリティの確保が急務である.一方,そのようなハンディキャップを持つユーザに対してもセキュリティを確保する必要がある.しかしながらアクセシビリティとセキュリティがどのような相関を持つかは自明ではない.本研究は特に視覚障害者に焦点をあて,アクセシビリティとセキュリティの相関に着目する.そのような視点に基づく研究は非常に数が少なく,著者らが知る限り唯一の例が 2015 年に米シラキュース大学の研究者らによって報告されている [4].本研究は上記の先行研究をベースとして,異なる人種,異なる言語,異なる支援ツールにおいても同様の結論が得られるかを検証する.具体的には 10 名の視覚障害者と 9 名の健常者からなる被験者グループを構成し,ウェブサービスの認証にかかわる操作をする際の成否や成功するまでに要する時間を計測する.実験の結果とインタビューを通じた質的分析を組み合わせ,認証を必要とするウェブページを利用する際に障害者が経験する困難性や解決すべき技術的課題を明らかにする.また,先行研究になかった新規な知見として,視覚障害者の中でも異なる世代間では結果に大きな差異が存在することを示す.