著者
姜 理惠 東出 浩教
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.76-97, 2018 (Released:2018-04-01)

本研究は、創造産業従事者が個人の業績を上げる過程において、どのような要素が影響しているのか、他産業従事者と違いがあるのかを職場環境や個人の創造性などの観点から定量分析したものである。創造産業従事者とそれ以外を対象にした質問紙調査を実施し定量分析を行い、二群を比較した。結果、創造産業従事者は、ビジネス創造性の観点から見て、他産業従事者と異なる特徴はなく、創造産業従事者のビジネス創造性と業績には直接的な関係は見つからなかった。しかし創造産業従事者のビジネス創造性は職場環境の影響を受けていたことから、創造産業従事者のビジネス創造性と職場環境との間には何らかの関係があると考えられる。また高業績の創造産業従事者は、開放的、自律的、支援的、挑戦的、良好なチームサポート、適度な負荷のある職場環境で働いており、個人の属性としては自由主義的で、同性愛や外国人に対して寛容であり(外的寛容)、逆に自他の失敗に対して厳しい(内的不寛容)という特徴があった。これは上記の条件に適合するよう職場環境を整え、労働者の外的・内的寛容に配慮することによって、創造産業従事者の業績が上がる可能性があることを示唆している。