著者
宇佐美 貴士 松本 俊彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1139-1148, 2020-08-15

抄録 わが国における10代の薬物乱用の実態を調査するために,全国の有床精神科医療施設を対象に実施した病院調査から得られた10代の薬物関連精神障害症例71例を比較検討した。危険ドラッグは2014年調査の48%から2018年調査で0%へと低下し,市販薬は2014年調査の0%から2018年調査で41.2%へと増加し,乱用薬物が危険ドラッグから市販薬へと推移していた。2014年の危険ドラッグ乱用群と2018年の市販薬乱用群を比較すると,学歴やICD-10 F1分類の下位診断カテゴリー,併存障害が異なり,臨床現場において,新たな薬物乱用層が出現していることが示唆された。得られた知見から今後のわが国の薬物乱用防止教育と精神科医療に求められることについて考察を行った。