著者
高橋 英紀 山本 博 鈴木 啓助 守屋 開
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.77-82, 1978
被引用文献数
3

人為的な湖の形成 (ダム等) や消滅 (干拓等) が周辺の自然や農業に及ぼしている影響を質的に量的に把握することを目的として湖周辺の局地気候に関する研究を開始した。今回観測を行なった洞爺湖は直径が約10km, 周長46kmの円形に近いカルデラ湖である。観測は1977年1月20・21日に行なった。自動車の屋根にとりつけた直径0.3mmの銅・コンスタンタン熱電対により気温を測定し, ペンレコーダーに記録しながら湖岸にそって周回した。得られた結果を要約すると次のごとくとなる。<br>(1) 観測期間中の水温は1~5℃であったのに対し, 気温は最高約-2℃, 最低-15℃で水温-気温差は最大10℃であった。<br>(2) 湖周辺の風向は昼間には一般風の影響をうけていたが夜間には周辺から湖に向って風が吹き込んでいた。<br>(3) 湖周辺の気温は一般風の影響の強い昼間には湖の風下では風上に比べ約2℃高温であった。<br>(4) 夜間の気温分布は昼間に比べ場所による変動が大きく地域により約5℃の差があった。