- 著者
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田部 有香
安田 謙二
中嶋 滋記
藤本 欣史
山口 清次
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
- 雑誌
- 日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.6, pp.347-351, 2015-11-30 (Released:2015-12-23)
- 参考文献数
- 12
左心耳瘤(left atrial appendage aneurysm, LAAA)は,1938年にSemansとTaussigにより初めて報告された非常に稀な疾患で,先天性のものの多くは原因不明である.小児期に無症状で発見されると,将来的な不整脈,胸痛,呼吸困難,血栓塞栓症などの合併症予防のために外科的切除を行う.今回我々は,急性気管支炎の際に胸部レントゲン写真で異常を指摘された2歳女児におけるLAAAの症例を経験した.経胸壁エコー,経食道エコー検査を行い,瘤内や心耳内血栓を否定した.また造影CTにて周囲に異常構造がないことを確認した.手術により切除した病理組織において,三層構造は保たれていたが,筋層の菲薄化と粘液性変化がみられた.恒常性を維持させられないほどの組織障害が生じたことが,瘤の原因となりえた可能性が示唆された.