著者
安達 弘章
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.155-164, 1964-03-01

近年, 種々ステロイドが合成され, 臨床的に広範囲に使用されているが, 私は2, 3の合成皮質ステロイド及び蛋白同化ステロイドが副腎皮質に及ぼす影響を尿中17-OHCS排泄値(Porter-Silber chromogens)の測定によつて検して見た. 合成皮質ステロイド, paramethasone及びbetamethasoneの常用量9日間漸減投与により, 尿中17-OHCS値の減少を来たし薬剤の漸減と共に増加したもの, 増加傾向のなかつたもの, 又一方薬剤投与により却つて増加したもの等が見られた. 投与終了後のACTH-Z負荷試験では一般に低調, 遷延傾向となつた. 蛋白同化ステロイド, 4-chlorotestosterone acetate及び4-chlorotestosterone capronate 1回投与により健康人(第1群)ではむしろ増加傾向を示し, 術後回復期等のもの(第2群)では著明に減少した. 又4-chlorotestosterone acetate 3日間連続投与は健康人に尿中17-OHCS値の増加傾向を来たさしめ, その後のACTH responseぱ遷延, 上昇傾向を示した.