著者
宮下 千枝子 澁澤 直恵 西澤 敦彦 中村 健一 奈良 雅代
出版者
東京都農林水産振興財団東京都農林総合研究センター
雑誌
東京都農林総合研究センター研究報告 (ISSN:18811744)
巻号頁・発行日
no.9, pp.23-30, 2014-03

近年のスギ花粉症患者急増への対策として,東京都は2006年から花粉症発生源対策事業を実施し,スギ林を伐採した後に花粉症対策品種を植栽することにより花粉飛散量の低減化を図っている。花粉症対策品種には,着花量の少ない少花粉スギや,花粉を生産しない雄性不稔(無花粉)スギなどがある。少花粉スギは多摩地域の環境に適した品種がすでに開発され,花粉症発生源対策事業により普及が進んでいる。一方,雄性不稔スギはまだ研究段階にあったが,将来的に花粉飛散量を減少させる効果の高い品種の一つとして有用と考えられた。そこで,東京都農林総合研究センターでは,多摩地域に適する雄性不稔スギの開発を目的として,2007年に交配育種を開始した。