著者
平原 文子 富岡 和久 大谷 八峯 石井 謙二
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.p309-314, 1991-07
被引用文献数
5

昭和43年〜63年度までの21年間の栄養調査成積より計算した各年次における1日の摂取量とそれに対する各食品類別の寄与率の年次推移について調査した。この調査期間中の1日当たりのE摂取量はほぼ9.4mgで、調査年次の違いによる変動は余り大きなものではなかった。各食品類別の摂取量は年次による違いが見られたが、調査時期の違いが一因であることが推定された。1日のE摂取量に対する各食品類別の寄与率は、各調査年次ともに油脂類が第1位であり、次いで魚介類であった。穀類は昭和47年までは第3位の寄与率を占めていたが、昭和56年に緑黄色野菜類と入れ代わり以降は第4位となった。菓子類の摂取量は昭和47年をピークに年々減少し、代償的に緑黄色野菜類が増えていた。国民一人当たりの平均値で見ると、調査期間中のE摂取量値は成人男子のE目標摂取量を上回っていた。しかし、国民個々人については、他の栄養素の栄養所要量に対する充足分布調査をみると過不足状態のものも少なくないことが指摘されている。E栄養についても不足状態のものも少なくないことが推測され、食生活の改善・栄養指導の必要なものもいることが推定されることから今後検討が急がれる。