著者
齋藤 洋子 富山 芳丈 上甲 宏 岡安 啓介 桑原 淳 西木戸 理子 皆川 京子 海老原 次男 対馬 健祐 富田 慎二 堀田 総一 松本 尚志
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.46-60, 2014 (Released:2014-02-15)
参考文献数
32

上部消化管X線造影検査被験者755人に尿中抗H.p抗体(以下H.p)法とペプシノゲン(以下PG)法を実施し, 読影を前向きに行い, H.p法とPG法の結果と対比した。X線画像上H.p未感染相当正常胃をA1, 慢性萎縮性胃炎をC2-4とした。PG法陽性は三木の基準(PGI≦70.0ng/mlかつPGI/II≦3.0)を用いた。除菌歴なし群は651人(86.2%)であった。H.p法陰性者の割合は40歳未満75%, 40歳代61%, 50歳代44%, 60歳以上31%であった。X線画像上のA1は275人中261人(95%)がH.p法・PG法陰性であり, Cの354人中322人(91%)がH.p法・PG法のいずれが陽性であった。X線画像上H.p未感染相当正常胃粘膜症例の殆どがH.p法・PG法(三木の基準)陰性群であった。現在実施されているX線法による胃がん検診の「異常なし」の判定は, H.p未感染相当正常胃粘膜に限るべきであり, 毎年の受診勧奨は不要である。背景粘膜を読影できる医師が充足できない場合, 画像の撮影と読影が不要で簡便である, H.p法+PG法に一次スクリーニングの位置を譲ることになろう。