著者
高橋 勇希 小口 純矢 高道 慎之介 矢野 昌平 猿渡 洋
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2020-SLP-132, no.22, pp.1-3, 2020-05-30

音響インパルス応答(IR)の測定には,Maximal Length Sequence や Time Stretched Pulse などの測定信号の利用が一般的である.通常,被測定系に人間が含まれるかどうかは考慮されないため,これらの測定信号が人間に与える聴覚印象が無視されている.他方,新たな生体認証として,人間の外耳道の音響インパルス応答が提案されており,個人に応じた音メディア提示などへの応用が期待されている.この被測定系は人間の聴覚器官を含むため,受聴者の心理的ストレスが小さい測定信号を利用すべきである.そこで本研究では,人間にとって心地よいとされる自然環境音での IR 測定手法,クラウドソーシングを利用した主観評価と周波数分析を用いた評価指標を提案する.実験的評価結果より,(1) 測定信号としての妥当さと聴覚的な心地良さを両立する自然環境音が存在すること,(2) 板倉斎藤擬距離に基づく測定信号選定は,雑音環境下の高精度IR測定にあまり寄与しないことを明らかにする.
著者
小口 純矢 嵯峨山 茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2018-MUS-119, no.29, pp.1-4, 2018-06-09

本論文は,波形生成モデルである複合ウェーブレットボコーダのさらなる品質の向上を目指す.これまでに我々は,音声分析合成や HMM 音声合成系において,複合ウェーブレットボコーダの安定性を示してきた.ここで,さらに WORLD や STRAIGHT で用いられている非周期性指標のような,音声の準周期性を取り入れることができれば,有声摩擦音やかすれ声のように周期成分と非周期成分の両方を持つ音声を表現でき,高品質な音声を合成できると期待される.本論文では,複合ウェーブレットの基本波形を完全な周期ではなく Jitter を付与した準周期的なパルス列によって駆動させることで実現した.また,主観評価実験により,改良後の音声が改良前の音声より品質が有意に高いことを示した.