著者
石居達也 小堀一雄 松下誠 井上克郎
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-29, no.1, pp.1-8, 2013-05-20

Java では,フィールドおよびメソッドに対してアクセス修飾子を宣言することで,外部からアクセス可能な範囲を制限することができる.しかし,既存ソフトウェアには実際の利用範囲に対して過剰に広く設定されているアクセス修飾子が多数存在することが知られている.一方で,それらのアクセス修飾子の修正状況については,過去に分析が行われていない.そこで本研究では,ソフトウェア開発の履歴を対象として,過剰なアクセス修飾子に対する修正作業の実行頻度について分析した.分析対象とするデータは,既存のアクセス修飾子過剰性検出ツールを拡張して既存の 7 つの Java プロジェクトから取得した.分析を行うに当たり,宣言されているアクセス修飾子と実際の利用範囲に基づき,フィールドおよびメソッドを 3 状態へ分類した.さらに,バージョン間における状態遷移を,性質ごとに 6 つのグループへと分類した.その結果,過剰なアクセス修飾子の大半は,修正されずそのまま放置されていることを確認した.一方,一部の種類の過剰なアクセス修飾子については,分析対象の全プロジェクトにおいて修正が行われていることを確認した.