著者
田中 俊実 小山田 正美
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.171-175, 1991-09-02
被引用文献数
1

全国35地点の水田土壌を採集し、ナプロアニリドの除草活性の変動要因と考えられる土壌特性との関連性について検討した。 1) ナプロアニリドのイヌホタルイに対する除草活性I_<90>値は、35地点の土壌のうち29地点は0.5〜2.0 ppmの範囲にあったが、北海道(南幌)、栃木(宇都宮)、茨城(牛久)、神奈川(藤沢)の土壌で除草活性の低下が認められた。4地点の土壌に共通する特徴は、炭素含有率が高く、ナプロアニリドやNOPに対して強い土壌吸着を示した。 2)土壌特性のうち、炭素含有量、窒素含有量、ナプロアニリドおよびNOPの土壌吸着係数の各要因とナプロアニリドの除草活性との問に高い相関が認められた。 3) ナプロアニリドの除草活性は土色の明度、色相b、彩度との問にも高い相関があり、これらの特性はナプロアニリドおよびNOPの土壌吸着係数との問にも相関が認められた。 4)以上の結果から土壌有機物を多く含む水田土壌では、ナプロアニリドおよびNOPが強く吸着されるため除草活性が低下すると考えられる。また、除草活性の変動を知る方法として土色の識別が利用できる可能性が示された。