著者
小山翔一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014-MUS-103, no.3, pp.1-6, 2014-05-17

より臨場感の高い音響再生技術を目指して,多数のスピーカを用いて音空間そのものを物理的に再構成する,音場再現技術が注目されている.従来のサラウンドシステムなどと比べて,広い受聴領域が実現できることに加え,ある場所の音場をそのまま収音・伝送・再現するようなことも可能になると考えられる.本稿では,まずは音場再現技術の従来手法を概観することで,その基本原理を解説する.さらに,マイクロホンアレイの収音信号のみから音場再現のためのスピーカアレイの駆動信号へ直接変換するための手法である,波面再構成フィルタについて詳しく紹介する.最後に,今後の展開として,マイクロホンやスピーカが理想的な数より少ない場合においても,高精度な再現を実現するための,超解像型音場収音・再現技術について紹介する.