著者
久保 義郎 長尾 初瀬 小崎 賢明 加藤 礼子 中村 憲一 塩沢 哲夫 下平 耕司 中元 洋介 橋本 圭司
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.921-928, 2007-09-10

要旨:〔目的〕脳外傷者の不適応行動の構造を明らかにし,その程度を測定する「脳外傷者の認知―行動障害尺度」の構成を目的とした.ただし,専門的知識がなくても評価できるよう,質問項目を生活上観察可能な事項に限定した.〔対象・方法〕脳外傷者について,家族,もしくは本人の生活をよく知る福祉施設の支援員に調査を依頼した.〔結果〕因子分析の結果,7因子31項目が抽出された.因子は「健忘性」,「易疲労性・意欲低下」,「対人場面での状況判断力の低下」,「固執性」,「情動コントロール力の低下」,「現実検討力の低下」,「課題遂行力の低下」と判断された.〔結語〕本尺度の構成により,脳外傷者の不適応行動の構造が示され,定量的な測定が可能となった.このことで脳外傷リハビリテーションの標的が明らかになり,効果判定が可能となった.今後は本尺度に加え,障害への対処スキルを明らかにし,その修得度や頻度を評価する方法の開発も必要であろう.