- 著者
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小林 一幸
- 出版者
- 公益社団法人日本ガスタービン学会
- 雑誌
- GTSJガスタービンセミナー資料集 (ISSN:13418491)
- 巻号頁・発行日
- no.33, pp.113-120, 2005-01-24
2003年12月、米国パワージェン・インターナショナル・カンファレンス(ラスベガス)においてMercury 50商業化モデルの正式発表がなされました。最新仕様は(ISO条件時)、定格4,600kW、発電効率38.5%(総合効率70%、追炊時90%)、蒸気量5.6t/h以上、窒素酸化物排気量9ppm以下(O_2=15%)、等となっています。米国エネルギー省の21世紀先進がスタービン開発プログラムのもと、4〜5MWクラスで一桁のNOxレベルと従来比15%以上の熱効率向上および低オペレーティングコストを目標にソーラータービンズ社で開発が進められて来た本機は、1997年の同カンファレンスにおいて初めて発表されました。その後米国、フランス、オーストラリアでよりハイレベルの信頼性、保守性、および耐久力を商用Mercury 50に課す事を目的とした過酷なフィールドテストを累計48,000時間超かさねて来ました。このフィールドテスト結果は再生器の構造設計の完成度、素材のアップグレード等にフィードバックされています。再生器の材質は信頼性向上を目的に初期の347ステンレスからインコネル625に変更され性能向上を目的に初期型より全長を711mm延長しています。同様にコンプレッサーとタービンセクションにも改良が施されました。コンプレッサーは可変案内翼付の10段軸流式で圧力比9.9、空気流量17.9kg/sとなっておりタービンは高負荷化により軸流式で2段を実現しています。回転体もより安定した特性を得るために152mm初期型より全長を短縮しています。燃焼器はリラー社の次世代燃焼技術のマイルストーンとなるべく開発されました。超希薄予混合方式(Ultra Low Premix: ULP)燃焼器を採用し燃焼器入口空気温度が高い再生サイクルに適したものとなっています。ソラータービンズ社では従来より実績のある予混合希薄燃焼器のSoLoNOxを1000台以上のガスタービンに搭載しフィールドに提供しています。累計の運転時間は2,200万時間を越えています。Mercury 50はコージェネレーション、CHP(combined heat and power)、BCHP(Building Cooling, Heating and Power)などの分散電源用途をターゲットとしています。現在のところ北米を中心に販売活動を開始し、カリフォルニア州内で2件の顧客開拓を実現。エネルギーサービス会社を通じ、大規模病院に現在設営中、年度末の竣工を予定。また,大手通信会社にも2005年上期の竣工を予定しています。