- 著者
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小花作之助 [著]
- 巻号頁・発行日
- 1800
文久元年(1861)12月、幕府は領有権確立と開拓のため、咸臨丸(かんりんまる)で小笠原諸島に幕臣を派遣したが、生麦事件の余波で、八丈島から来た開拓民を含む全員が同3年5月に引き揚げた。本資料は外国方定役の小花(おばな)作之助の著作(『稀本あれこれ』参照)。派遣員の氏名、小笠原諸島の略史などを述べたのち、「草木禽獣虫魚の概略」と題して農作物・家禽・家畜・野生動植物について記す。ニワトリ・ブタ・ヤギがすでに野生化していること、猫と鼠が甚だ多いなどの記述がある。末尾には「附言」があり、その中で「文久2年2月末から約1年間に寄港した外国船は12隻、うち9隻が米国捕鯨船」の旨を記す。(磯野直秀)