著者
奈良 猛 稲垣 武 小野 亮平 村田 淳
出版者
一般社団法人 日本呼吸理学療法学会
雑誌
呼吸理学療法学 (ISSN:24367966)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.39-46, 2023-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
24

はじめに:人工呼吸器離脱に難渋した院外心肺停止蘇生後症例に対し,吸気筋トレーニング(inspiratory muscle training:IMT)と歩行運動を実施し,良好な結果を得たため報告する。症例紹介:急性心筋梗塞による院外心肺停止蘇生後の72歳男性,入院後早期より理学療法を開始したが人工呼吸器離脱に難渋したため,第38病日より人工呼吸器装着下での歩行練習,第44病日より気管切開下IMTを4週間実施した。結果:IMT前後で吸気筋力(38→57cmH2O),動脈血二酸化炭素分圧(68→56 Torr)の改善を認め,第57病日に人工呼吸器離脱,第95病日には在宅酸素療法導入の上ADL自立での自宅退院に至った。まとめ:長期人工呼吸器管理を要した本症例に対する気管切開下IMTと積極的な歩行運動は,呼吸筋力の改善,II型呼吸不全再増悪の予防,人工呼吸器離脱,更には良好なADL再獲得へ寄与した可能性がある。