著者
小野 昌也
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.515-520, 1960-01-30 (Released:2009-03-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2

ダイコクネズミ脳homogenateを用い,グルタミン酸-アスパラギン酸トランスアミナーゼ(GAT)活性に及ぼす18種の向精神薬,および3種の向神経薬の影響を測定した.1. フエノチアジン系向精神薬は, Prochlorperazineを除く他の6種はいずれもGAT阻害を示し,阻害作用はChlorpromazineに最も強かつた. Chlorpromazine S-oxideはChlorpromazineに比してGAT阻害作用は著しく弱い. 2種のフエノチアジン系向神経薬はGAT活性に影響をみなかつた.2. AzacyclonolはGAT阻害を示し, LSD-25は高濃度で阻害を示したが低濃度では影響を与えなかつた.3, 中枢刺戟剤4種のうち, PipradrolとDMAEは促進, Methylphenidateは影響なく, Tofranilは阻害を示した.4. バルビツール酸系睡眠剤AmobarbitalとPhenobarbital,非バルビツール酸系睡眠剤MethyprylonとGlutethimideは,すべて阻害を示した.しかるにバルビツール酸拮抗剤BemegrideはGATに無影響であつた.抗てんかん剤Primidoneは阻害を示した.5. 実験に用いた中枢抑制剤13種のうち12種が阻害を示した.6. GATに及ぼす作用において, ImipramineとChlorpromazineの類似, DiethazineやPromethazineとChlorpromazineとの差異を,化学構造における2個のN原子間の距離の一致と相異に対応すると考えた.