著者
尹 紅花
出版者
麗澤大学中国研究会
雑誌
中国研究 (ISSN:09194177)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.27-41, 2010-12-25

本稿では,筆者がこれまで行った朝鮮族の歴史と民族教育に関する研究を踏まえ,日本に来ている朝鮮族の新しい生活形態と民族教育に対する考え方を調査したものである。取り上げたのは,現在それぞれ違うビザを持っていて,また,日本に10 年以上住んでいる5 家族で,これらの家庭生活を主に聞き取り,その家庭の生活様式と言語教育に関する内容を詳しく調べ分析を試みた。また,中国朝鮮族の会員数日本一のサイトSHIMTO の2006年から2010 年までの家庭教育コーナーを調べ,次世代教育に関する考え方を紹介した。中国朝鮮族は,朝鮮民族のアイデンティティと中国人としてのアイデンティティの二重文化を持っている。日本で生まれた子供は,さらに日本文化の洗礼を受けて,家庭の中で両親が持つ二つの文化を加えられ,三つまたはそれ以上の文化を持つことになる。多重文化体系を持っていることは,その分,心の迷いも多いことを意味する。ルーツを知り,生きていくための基盤を作ることは,個人,民族にとって重要な意味を持つ。