著者
尾間 由佳子 原田 昌彦
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.262-268, 2012-04-01 (Released:2013-04-01)
参考文献数
28

細胞が環境に対応して生命活動を維持するため,また個体が発生分化するためには,DNAに刻まれた遺伝情報を時間的・空間的に適切に選択して発現させることや,ゲノムを安定に維持することが必須である.このようなゲノム機能に中心的な役割を果たすエピジェネティック制御に,細胞核の構造形成や,核構造とクロマチンとの相互作用が関与することが明らかになってきた.細胞核の構造に基づいたエピジェネティック制御機構の理解は,遺伝子発現やDNA修復の制御機構の解明にとどまらず,発生・老化などの高次生命機能や,がんなどの疾病や再生医療においても新規かつ重要な知見をもたらすことが期待される.