著者
山下 暁子
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.511-522, 2014-03-20 (Released:2017-06-12)

美術科教育の目標に含まれる「情操」とは何を意味しているか。「情操」を豊かにするための,人間の基本的な機能である「感性」について,風景,環境世界,自己形成をキーワードに,哲学や教育心理学,乳幼児精神医学の文献を参照して考察を行う。自己形成や自己変容の能力を人間が生れながらに本来備えている能力であるとする,D.N.スターンの「自己感」という概念から「感性」の機能を捉え,風景や環境世界の捉え方と関連づけて説明することで,自己形成や自己変容に働きかける「自己感」の機能と,感性や芸術の感受との関係について明らかにした。