著者
滝本 雅祥 横山 忠夫 沢田 昌 山下 素治
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.793-797, 1963
被引用文献数
6

メラミンの脱アンモニア縮合物であるメラム,メレムを種々の原料から分離確認することが,イオン交換クロマトグラフィーと紫外吸収スペクトルの測定から容易となったので(既報),この方法を用いながらこれらの単離をはかった。メラムはジシアンジアミドの溶融物からアルカリと水を用いて精製再結晶して, またメレムはメラミンの密閉器中における溶融分解物を水から再結晶して得られた。水から再結晶したメラム,メレムは,それぞれ2および1分子の結晶水を含有する。<BR>メラム, メレムの水に対する溶解度は極めて小さく25℃ではそれぞれ約0.05および0.003g/lであった。酸, アルカリにはメラミン, メラム, メレムの順に加水分解され易い。メラムは加水分解されてメラミンとアンメリンを生成し,メレム(シアメルリル環を有する)は, シアメルル酸になるが, さらにその中間過程に生成されるジアミノ- モノヒドロキシ化合物, モノアミノ-ジヒドロキシ化合物を見出した。紫外の吸収を利用してメラム, メレムの解離定数を測定し,<I>K</I>b<SUB>1</SUB>としてそれぞれ7.50×10<SUP>-2</SUP>,1.79×10<SUP>-12</SUP>を得た。また紫外,赤外吸収スペクトルの測定も行なった。