著者
山崎 亮一
出版者
農業問題研究学会
雑誌
農業問題研究 (ISSN:0915597X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.13-23, 2017 (Released:2019-10-11)
参考文献数
34

環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定であるTPPは,世界システム論流に言うならば,「中心」の国々と「周辺=辺境」の国々を包摂した経済領域の創出であり,そこには,多国籍企業の本拠地となる国々もあれば,反対に主にそれを受け入れる側の国々もある.本稿では,TPPを,原蓄完了後の社会と原蓄真っ只中の社会がお互いを求めて結びつこうとしている状況として捉える視点を提案した.
著者
山崎 亮一
出版者
農業問題研究学会
雑誌
農業問題研究 (ISSN:0915597X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.49-56, 2015

本稿の課題は本源的蓄積とは何かという問いに対して回答を与えようというものである.その際に導きの糸となったのは,望月教授の「『資本制的生産に先行する諸形態』を本源的蓄積論の序説として読まなくてはならない」,という指摘である.この指摘を敷衍することによって,本源的蓄積を,共同体の「生存原理」が否定される歴史過程として捉える視点が導きだされることになる.ここで「生存原理」とは,「社会の経済活動の目的は,その構成員の生存と世代をこえたその再生産を保障することにある」ということである.先資本制的な共同体はこの「生存原理」に基づいて編成されていた社会であるが,その解体である本源的蓄積は,2つの過程から成る.先ず,本源的蓄積の開始期では,共有地が横奪される.そして,「資本の有機的構成高度化とそのことによる相対的過剰人口創出を通じた労働力供給メカニズムの確立」=「資本のもとへの労働の実質的包摂」によって本源的蓄積は最終的に完成する.