著者
山崎 武彦 Takehiko Yamazaki
雑誌
盛岡大学紀要 = The journal of Morioka University (ISSN:02860643)
巻号頁・発行日
no.12, pp.95-102, 1993-03-15

1)青年期に,高いといわれる不安は青年期が深まるにつれて減少していくことは事実なのか,もし事実であるとすれば,不安の要因のどの部分を減少させていくのかを検討し,青年期の不安の特徴について明らかにすることを目的とした。2)対象は青年期前期である中学生,中期である高校生,後期である大学生とし,CAS不安診断検査,およびSTAI不安検査を施行した。3)CASとSTAI両テストの結果から,青年期が深まるにつれて,不安は減少していくことが確認された。4)CASの結果で目立つのは,女子が高校から大学にかけて不安を減少させる傾向が大きいこと。特にL因子,つまり疑い深さやパラノイド傾向から生ずる不安,およびQ_4因子,つまり欲求不満や衝動による緊迫感から生ずる不安を減少させていくことであった。5)STAIの結果では,男子は,状態不安を中学から高校にかけて大きく減少させていくのに対して,女子は,特性不安を中学から大学にかけて平均的に減少させていく傾向がみられた。6)これらの諸結果について,青年がおかれている現在の心理的,社会的状況や発達特性等いくつかの面から考察をおこなった。