- 著者
-
石川 和江
磯 麻衣子
松井 優果
塩谷 亜希子
山本 國夫
Kazue ISHIKAWA
Maiko ISO
Yuka MATSUI
Akiko SHIOTANI
Kunio YAMAMOTO
- 出版者
- 大手前大学健康栄養学部
- 雑誌
- 食糧・栄養と健康 = Otemae Journal for Food, Nutrition & Health (ISSN:24363251)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, pp.27-34, 2022-03-31
<目的>現在、メントールを含有した飲料であるミントティーが多く市販されている。食品添加物でもあるメントールを含むミントティーの継続的な摂取が生理反応や感覚に及ぼす影響を調べた研究は少ない。また、女子学生は学生生活の中で冷えや暑さを感じることが多い。そこで本研究では女子学生を対象に、メントールを含むハーブ(ミント)の継続摂取による効果や安全性を明らかにすることを目的とした。<方法>この研究は、専門学校および大学の女子学生を対象とした。対象者は、メントール含有ペパーミント飲料(以下、ミントティー)を1日3回1週間連続摂取した。我々は、ミントティー摂取前と1週間継続摂取後、および2週間後に身体計測(身長、体重、BMI、基礎代謝、体温、血圧、脈拍)温冷感覚アンケート、クレペリン検査を実施し、ミントティーの温冷感覚への影響および安全性について検討した。さらに、クレペリン検査後に、主観的感覚アンケートを行った。統計解析は、15名の時間経過による変化および、ミントティー摂取前の温冷感覚アンケートの結果をもとに、感覚冷感群(以下、冷感群)、感覚暑感群(以下、暑感群)の2群に分類して分析した。<結果および考察>データ解析対象者は15名であった。15名全体では、生理応答、クレペリン検査に時間経過による有意な変化は見られなかったが、主観的アンケートでは、「疲れ感」に有意な変化がみられ、飲用前(以下、0週)に比べて飲用1週間後(以下、1週)に有意に低下した(p=0.020)。冷感群と暑感群の比較においては、ミントティー摂取による収縮期血圧は、暑感群では0週に比べて1週、摂取完了1週間後(以下、2週)とも低下し(p=0.003)、冷感群では1週に比べて2週で低下した(p=0.023)が、拡張期血圧は両群とも有意な変化はみられなかった。主観的感覚のうち、「疲れ感」は、冷感群で0週に比べ1週、2週とも低下した(p<0.001)。クレペリン検査による作業量は、両群とも0週に比べ1週、2週とも増加したが、変化量では、暑感群に比べ冷感群が有意に高かった(p=0.006)。本研究での女子学生は、ミントティー摂取による安全性への影響はなく、冷感群、暑感群で生理的応答と主観的感覚が異なることが示唆された。なお、本研究では、ミントティーの摂取期間中および摂取完了後1週間の身体計測等の基礎健康調査および問診での気分の悪化や頭痛、嘔吐、下痢などの症状に異常はなかった。