著者
板庇 外茂雄 山本 理恵子 佐藤 真澄
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.p585-592, 1987-08

Fusobacterium necrophorum培養菌液を8〜14ヶ月令のHolstein牛8頭の肝内門脈に, 超音波映像下穿刺法によって, 経皮・経肝的に接種した。3頭は菌接種後2〜14日で死亡し, 肝に壊死巣が密発していた。他の5頭では, 接種後12〜126日の剖検時に1〜20個の肝膿瘍がみられた。急性期死亡牛では, 接種後2〜6日で肝壊死巣に対応する高エコー斑塊が認められた。肝膿瘍形成牛では, 接種後5〜10日に肝画像に膿瘍所見がみられ, 壊死塊に対応する高エコー塊を囲んで肉芽組織に対応する低エコー量 (ハロー) が認められた。このハローパターンは直径約1cmの小さい膿瘍でも確認でき, 一部の例では, 中心の高エコー塊はしだいに消失し, 肉芽組織と被膜 (等または低エコー) のみの残存に対応する単純な低エコー球となり, 接種後50〜70日では瘢痕 (等または低エコー) 形成に対応して画像中に指摘できなくなった。ハローパターンのまま側方陰影を伴って長く残存する例もあり, 低エコーパターンを示す膿汁は無エコーパターンとはならなかった。