著者
岡本 怜嗣
出版者
奈良大学大学院
雑誌
奈良大学大学院研究年報 (ISSN:13420453)
巻号頁・発行日
no.15, pp.214-238, 2010-03

鎌倉時代中期に活躍した仏師・肥後定慶は二件の幕府関係の造像を行った。その一つが藤原頼経室であった竹御所追善の造仏であり、もう一つが藤原頼経発願の五大堂五大明王像であった。これら二つは運慶の次世代の仏師造像として早い時期のものである。本稿では、肥後定慶がこれら二件の幕府関係の造像に採用された背景の検討を行った。その結果として今回は、中原行兼という人物に注目した。肥後定慶が中原行兼の知遇を得たことによって、どのような過程で採用が行われたかというメカニズムの検討を行った。