著者
岡田 克己
出版者
一般社団法人 日本小児精神神経学会
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.38-49, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
6

横浜市は,2017年度より文部科学省の研究委託を受け,新たな通級指導教室「コラボ教室」を小学校に開設した.本教室は,発達障害等により学校生活への適応が困難である児童に対し,障害による学習上や生活上の困難の改善・克服を目標とする従来の自立活動の指導の視点に加え,子どもたちの強み(興味関心や認知的強み)を生かす教育という新たな視点に立つ.平成30年度は小学校3~6学年までの男女全18名.全児童のIQの値による知能評価の基準は,平均の上から平均より非常に高いまでの範囲にある.本教室では,「専門分野」「社会性」「自己理解」の3つを柱に指導内容を構成した.また,各児童に対し,「通級型指導」「専門分野の特別指導」「巡回型指導」「本人参加型会議」の4つの指導形態を併用し,指導を展開した.これらに取り組むことで,全体的に社会性・適応行動面に肯定的な変化がみられ,自己理解の深まりが得られた.