- 著者
-
岡田 真理紗
- 出版者
- NHK放送文化研究所
- 雑誌
- 放送研究と調査 (ISSN:02880008)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.8, pp.78-87, 2020 (Released:2021-04-16)
本稿では、NHKが2020年3月に実施した全国電話世論調査の結果をもとに、日本の社会に外国人が増えることへの国民の意識や外国人と共生するための課題などについて述べる。外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が施行されて2020年4月で1年になるが、日本で働く外国人が増えることについては、賛成する人が70%と多数を占めている。しかし、自分の住む地域に外国人が増えることに賛成する人は57%にとどまる。日本に外国人が増えることに賛成する人でも5人に1人は、自分の住む地域に外国人が増えることに反対している。
自分の住む地域に外国人が増えることへの不安では、「言葉や文化の違いでトラブルになる」と「治安が悪化する」を挙げた人が多く、国や自治体に取り組んでほしいことでは、「生活上のルールを教えること」が最も多い。一方、外国人が増えることへの期待では、「新しい考えや文化がもたらされる」が最も多く、自分の住む地域に外国人が増えることに反対する人でも約6割が、外国人の増加に何らかの期待を抱いている。
外国人労働者が家族をともなって日本で暮らす「家族帯同」については、条件を緩和して今より広く認めるべきだという人は33%にとどまるが、日本で暮らす外国人の子どもに対しては、国や自治体の財政負担が増えたとしても日本語を十分に教えてほしいと思う人が79%にのぼっている。