著者
塩崎 功 村上 晃生 谷口 博幸 川上 康博 今井 久 稲葉 秀雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.579, pp.163-176, 1997-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1

川浦ダム・川浦鞍部ダム周辺地山の透水性を評価するために, 初期湛水時にダム周辺地下水の水質・同位体調査を行った. イオン濃度の調査結果から, 川浦ダム監査廊内ボーリング孔, 川浦鞍部ダム左岸ボーリング孔の一部で調整池水の到達が確認された. イオン濃度の時間変化から求められた監査廊内への調整池水の流下時間は7~20ケ月と長く, ダム基礎岩盤の透水性は基礎処理によって十分改良されていることが示された.トリチウム, 酸素-18, 重水素の同位体データを用いた多変量解析結果より, イオン濃度からは判定できない仮排水路トンネル湧水への調整池水の到達が示された. 本調査の結果, 調整池水の到達を知るための指標として, 現場測定可能な電気伝導度および硝酸イオンが有効であった.